研究課題/領域番号 |
25887040
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
江島 輝美 独立行政法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境部門, 研究員 (70712173)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | かんらん石 / モンゴル / スピネルレールゾライト / Fe酸化数 / メスバウアー分光分析 / 高分解能透過型電子顕微鏡 |
研究概要 |
本年度は、隠岐の島大久地域・黒島、福岡県高島において地質調査を行い、数10個のさまざまな種類のゼノリスを採取した。肉眼および双眼顕微鏡下で風化の影響が認められなかった7試料に関して現在分析準備を進めている。 また、モンゴルTariat地域におけるスピネルレールゾライト(九州大学小山内教授提供)の構成鉱物および玄武岩溶岩中のかんらん石におけるFeの酸化数をメスバウアー分光分析および電子線微小部分分析(EPMA)法を用いて定量し、これらの構成鉱物に含まれるFe3+の形成時期について検討した。スピネルレールゾライトゼノリスは、かんらん石(Fo90Fa10)、単斜輝石、斜方輝石およびスピネルよりなる。 メスバウアー分光分析に用いた粉末試料は、玄武岩とゼノリスの接触部分を避けゼノリスの中心部から分離した斑晶を用いた。メスバウアー分光分析の結果、かんらん石、斜方輝石、単斜輝石およびスピネルのFe2+:Fe3+の比は、97(1):3(1) 85(8):15(1) 74(4):26(3) 66(8):34(5)であった。透過型顕微鏡による観察結果から,かんらん石中のFe3+は析出物や不純物によるものではなく,かんらん石の構造中に存在すると結論される。玄武岩との接触部分のレールゾライトゼノリスのかんらん石は、玄武岩接触部分においても高温酸化による析出物等は見られず、玄武岩との接触部分ではFe3+は誤差の範囲で認められない。また玄武岩との接触部から約20 mのゾーンでは,中心部方向に向けてFo含有量およびFe3+が増加する。ゼノリスを捕獲している玄武岩中のかんらん石斑晶のFe3+もほぼFe3+を含んでいない。この事実からモンゴルのレールゾライトゼノリスのかんらん石および共生する構成鉱物から検出されるFe3+は、ゼノリス形成時の情報を保持していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年10月1日にそれまでの所属機関であった九州大学比較社会文化研究院から独立行政法人産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門に所属を変更した。このため、事務手続き等の問題から研究活動への取り組みが大幅に遅れた。しかし、11月以降積極的に研究を行い当初の遅れを取り戻しつつある。しかし野外調査に関しては、予算使用開始時期が冬場になったこともあり大幅に遅れたままである。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の遅れを取り戻すため、研究計画を見直し、実現性のある研究計画を立てる。 前年度達成できなかった福岡県黒瀬の野外調査に関しては、今年度前半中に野外調査を終了させる。もし、前半に試料採取が行えなかった場合は、試料提供を受けるもしくは代用試料を用いる。前年度行う予定であった分析試料準備(鉱物分離)は、野外調査の遅れのため終了していないが、準備方法を確立・効率化させることで対応する。各種分析に関しては、計画に従い実行する。公表計画に関しては、モンゴルの試料より得られた研究成果を国際誌において公表できるよう努める。
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