研究課題
ポジトロニウム負イオン(電子2個と陽電子1個の束縛状態)は、等しい質量のレプトンのみから構成される3体系であるため、量子力学的3体問題の理想的な研究対象である。本研究では、ポジトロニウム負イオンのレーザー分光計測を実施し、紫外域に理論予測される1Po共鳴を観測することを目的としている。本年度(最終年度)は、前年度に開発した分光装置に以下の改良を施した。(1)長時間計測に対応できるよう、色素レーザー光源の安定化を図り、DBCAO溶解の色素(クマリン)溶液を用いて色素の寿命を前年度比3倍に改善させた。(2)測定の効率を上げるために高速デジタイザーを基にしたデータ収集系を構築した。(3)迷光によるバックグラウンドを抑えるため、多連バッフルを配置した導入管を光路上に設け、S/B比を前年度比で1桁近く改善させた。相対光脱離断面積を波長の関数として測定した結果、断面積上に非対称な共鳴構造が観測された。この共鳴構造は理論計算と良い一致を示し、1Po状態の形状共鳴に因るものと推測される。この結果は、ポジトロニウム負イオン系での共鳴状態の発見を示すものであり、ポジトロニウム負イオンのレーザー分光への道を拓いたといえる。この研究成果について、現在投稿論文を準備中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
Japanese Journal of Applied Physics Conference Proceedings
巻: 2 ページ: 1-9
10.7567/JJAPCP.2.011303
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A
巻: 785 ページ: 5-8
10.1016/j.nima.2015.02.042
Journal of Physics: Conference Series
巻: 505 ページ: 1-6
10.1088/1742-6596/505/1/012037