太陽彩層~遷移層の磁場測定が可能になると期待される、量子論的ハンレ効果を用いた診断手法の確立を試みた。観測ロケット実験CLASP(平成27年度打ち上げ)で観測するライマンα輝線(121.6 nm)の偏光スペクトルを計算しデータ解析を模擬することで、ハンレ効果に感度のある磁場強度範囲や解の不定性や縮退、大気モデルの依存性を調べた。本研究で最も重要な結論は、ハンレ効果によって生じる直線偏光のみからは、一意に磁場の3成分を決定することはできず、そのうちの1つを制限する別の観測が必要であることがわかったことで、CLASP観測計画の立案や将来計画検討に目処をつけた。
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