本研究は、NMR(核磁気共鳴)の感度改善に関する研究である。スピン偏極率の低さが原因で観測が困難な核スピンを、光励起三重項電子スピンを用いた動的核偏極という手法で1000倍以上の感度改善を目指すものである。この手法を用いて、ペンタセンをドープしたp-ターフェニル単結晶中で1Hスピンの信号強度を18万倍高めることに成功した。さらに、ペンタセンとフルオロ安息香酸をドープしたo-ターフェニルのガラス媒質中で19Fスピンの信号強度を1000倍以上に高めることにも成功した。13Cなどの核スピンについても研究を進めている。
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