本研究は、ESAの金星周回機Venus Expressの電波掩蔽観測データを解析し、熱潮汐波の鉛直構造を捉えることが目的である。報告者は、2006年から2010年までの電波掩蔽観測データから得られた気温分布を利用して、基本的に振幅が大きいと予想される赤道域の熱潮汐波の構造を試験的に計算した。その結果、雲層高度から下向きに伝播する東西波数2の熱潮汐波を捉えた。しかしデータ数が不足しており、十分下の高度や特定の地方時における熱潮汐波の構造を捉えることができていない。報告者は、2011年以降に取得された電波掩蔽観測データも解析してサンプル数を増やし、より鮮明に熱潮汐波の構造を捉える。
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