アルツハイマー病などの神経変性疾患の発症機構解明や神経損傷に対する治療法の確立は、社会的に急務な研究課題の一つである。本研究では核酸、特にRNAの定量的な単一分子空間イメージングにより、神経変性疾患iPS細胞での「少数」核酸の機能に関する学術的知見を得ることを目的とした。昨年に引き続き、少数核酸の定量的単一分子イメージング法の開発を行った。まず、研究実施機関の年度途中での変更により、実験に必要な細胞培養室の整備、ラットを用いた実験に必要な大阪大学での動物実験の申請等を行った。 一分子レベルでの高感度生体分子機能の磁場イメージングに向けて、磁場によって発光強度が変化するナノ粒子の合成、測定系の構築を行った。合成したナノ粒子は、近赤外光照射により可視領域に発光を示すことが分かり、顕微下での測定系の構築がほぼ終了した。また、磁場印加システムの構築で、電磁石を作製し、必要な磁場を顕微鏡上で構成できるセットアップの構築が完了した。また、神経での電気信号の伝達過程を測定するための電気生理学システムの構築を行った。実際の細胞応用の段階に必要な全ての測定系の構築が進み、研究のスタートに当たり、必要な基盤的要素の構築が行えた。
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