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2013 年度 実績報告書

ピロールを基盤とした新規機能性色素の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25888011
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関京都大学

研究代表者

東野 智洋  京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90711804)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード有機化学 / 機能性材料 / ピロール / 典型元素化学
研究概要

有機太陽電池をはじめとする様々な有機デバイスを目指した研究には、オリゴチオフェンが広く用いられている。一方、オリゴピロール類も優れた導電性や酸化還元特性を示すほか、興味深い光物性をもつことなどから、その応用が期待されている化合物である。また近年、パイ共役化合物に典型元素を組み込むことで新たな物性の発現を目指した研究が盛んに行われている。今回、ピロールを基本骨格にもち、典型元素を有するビスピロロヘテロールの開発検討を行った。
まず、ハロゲン化されたピロールの変換反応の検討を行うことで、ビスピロロヘテロールの前駆体であるジブロモビピロールの合成に成功した。得られたジブロモビピロールに対しBuchwald-Hartwigアミノ化反応を行うことにより、極めて電子豊富なパイ共役分子であるビスピロロピロールが生成することを見出した。また、硫黄原子を導入した、ビスピロロチオフェンの合成・単離にも成功した。同一の前駆体からそれぞれ窒素原子・硫黄原子を導入したビスピロロヘテロールが生成することを見出したことから、今回設計したジブロモビピロールは、様々なビスピロロヘテロール合成の良い前駆体であるものと考えられる。このことから、他の典型元素を導入した、さらなるビスピロロヘテロールの合成も十分期待ができる。
しかしながら、ビスピロロピロールは電子豊富なため空気中で不安定であったことから、その安定化の検討を行っている。一方で、ビスピロロチオフェンは単離に成功したことから、官能基化・修飾法の検討を行っている。これらの手法を確立することにより、新奇なポルフィリノイドの開発や、機能性材料としての物性を明らかにするとともに、有機デバイスへの検討を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ビスピロロヘテロールは興味深い構造をもち、古くからその構造が報告されている化合物であるが、その例は限られている。その大きな理由として、合成法が確立されていないことがある。加えて、過去の報告例から適切な置換基導入により安定化させることが必要であると予想されている。このように、ビスピロロヘテロールの開発はさほど容易ではない。そこで研究代表者は、前駆体としてジブロモビピロールを設計し、これにより一連のビスピロロヘテロールを得るという、直線的な合成戦略を立てた。実際に前駆体の合成・単離に成功し、この前駆体を用いることで、Buchwald-Hartwigアミノ化反応による窒素原子の導入・ハロゲン-リチウム交換に続く硫黄原子の導入に成功し、ビスピロロピロール・ビスピロロチオフェンが生成することを見出した。当初の戦略どおり、同一の前駆体から異なるビスピロロヘテロールが得られたことから、他の典型元素置換基についても導入できるものと十分期待できる。ビスピロロピロールはその電子豊富な性質のために不安定であり、その単離の実現にはまだ至っていないが、ビスピロロチオフェンについては単離することにも成功している。ビスピロロピロール合成の足がかりを着実に築きつつあり、またその修飾法の検討も行うことができていることから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

ジブロモビピロールを前駆体として用いることで、ビスピロロピロール・ビスピロロチオフェンが生成することを見出しており、今後はリンやホウ素など、その他の典型元素を導入したビスピロロホスホール・ビスピロロボロールなどの合成に挑戦する。また、生成することがわかっているビスピロロピロールを安定化し単離することにも挑む。加えて、単離にも成功したビスピロロチオフェンを用い、その官能基化・修飾法の確立に向けた検討を行う。修飾法を確立したのち、その手法を用いて新奇なポルフィリノイドの開発や、有機デバイスへの適用を目指し機能性材料としての物性の解明を行う予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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