現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はアルキルアミド類を基質として、触媒的に直接α-アミノボロン酸誘導体を立体選択的に合成する手法の確立を目指している。特に、本計画では複雑な分子の合成後期に適用可能な汎用性の高い変換を指向しており、多官能性の化合物に対しても化学選択的に狙った位置へホウ素を導入出来る汎用性の高い変換を達成したい。 本反応は、2つの金属による2つの触媒反応からなり、基質であるアルキルアミドの酸化的にイミン形成と、続く触媒的不斉ヒドロホウ素化によってα位にホウ素が置換したアルキルアミドの合成を目指す。 本年度ではまず、最初のステップであるアルキルアミドの触媒的酸化の検討を行った。アミンやアミドの酸化反応は村橋、直田等によってRu触媒を用いた例が(Chem. Rev., 1998, 98, 2599)、またLi等によってCu触媒を用いた手法が報告されている (Acc. Chem. Res. 2009, 42, 335)。これらの条件を参考にしつつ、種々の金属触媒と酸化剤の組み合わせを検討することで、基準としているアルキルアミドのイミン形成反応の進行を試みている。現在のところ、高収率かつ高選択的に目的の反応が進行する条件が定まっていない。 本年度では、イミンのヒドロホウ素化についても予備的な検討を行っている。本計画における2段階目のステップである、イミンへのヒドロホウ素の不斉付加は、本計画の申請時には達成されておらず、この2段階目の反応自身に新規性があった。予備的知見を得るため一般的なイミン化合物を用いて、ロジウム触媒による立体選択的なヒドロホウ素化反応の検討を行った。現在のところ、効率的かつ高い立体選択性を達成する条件の発見には至っていない。このような検討を行っている途中、Morken等がPd触媒によるイミンの触媒的不斉ホウ素化を達成した(JACS, 2013, 135, 9252)。
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