研究課題
本研究では、申請者が開発した強誘電性カラムナー液晶の分極反転スピードを向上すべく取り組んできた。液晶という動的な相において自発分極を実現するためには、極性構造の安定化が不可欠である。しかしながら、これまでの分子デザインでは極性構造が安定すぎるため、電場に対する応答スピードが低下するという問題があった。そこで、極性構造から少し離れた側鎖の分子デザインを改変し、応答速度の向上を試みた。側鎖の分子デザインとしてはこれまで直鎖のものに限っていたが、枝分かれしたものなどを用い分子の対称性を低下させるものを用いた。その結果、期待通り合成した複数の誘導体がにおいて、応答スピードの向上が確認されたが、その度合は数倍程度で満足いくものではなかった。一方、側鎖にオリゴエチレンオキシド鎖を導入した誘導体(以下C1)は、それ単体では液晶相を発現せずただの粘稠性液体であったが、これまでの液晶材料に混ぜ込むことで、その応答スピードを2桁近く向上することに成功した。詳細な解析より、C1は強誘電性カラムナー液晶のドメインサイズを小さくしていることが明らかとなった。この事実は、極性構造の安定化は分子構造に起因するだけでなく、ドメインの大きさがカラムの極性構造の安定化に寄与していることを示唆している。これまでの液晶材料の研究分野でドメインサイズを小さくする方法が報告されているため、今回得られた知見はこれまで開発されてきた手法と組み合わせることで、相乗効果が期待される。現在専門誌への論文投稿を準備している。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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