研究課題
本年度は、金属埋込み型半導体微小光共振器のQ値を更に上昇させるための解析を進めた。解析においては、有限要素法を用いて数値計算を行った。まず、Q値を半導体のディスク共振器と自由空間との距離(共振器が金属に埋め込まれている深さ)の関数としてプロットしたところ、距離の増大に依存してQ値が指数関数的に増大し、ある一定の距離以上では飽和する特徴を持っていることが分かった。自由空間との結合の強さは共振器からの光取り出し効率に対応しているので、この埋め込み深さを制御することで光取り出し効率とQ値の両方を制御できることが分かった。また、昨年度に行った波動方程式を用いた解析を進めた結果、半導体共振器と金属との間に挿入する透明絶縁膜の誘電率が低い方がQ値の増大が見込めることが分かった。これは誘電率が低いとポテンシャルバリアが増大することに起因している。以上のような、共振器の埋め込み深さと透明絶縁膜の誘電率をQ値が増大するように最適化させたところ、Q値~400万を得た。金属埋込み型半導体微小光共振器のQ値の特性を明らかにすることができたので、共振器にカイラル構造を導入してそのQ値と輻射場の特性の解析を進めた。これまでは半導体共振器の形状はディスク型であったが、卍型に変更した。卍型として左卍と右卍の構造を設計して、その共振器特性を数値計算で評価した。金属埋込み型卍構造半導体微小光共振器では、共振器のQ値としては最高で3000程度であった。ディスク型共振器と比較すると低い値ではあるが、金属を用いた共振器としては大きな値であることを確認した。また、輻射場に関してはディスク型共振器では右回りと左回りとでモードが縮退していたが、卍型共振器ではその縮退が解けてエネルギー的に分裂し、カイラリティーを持った輻射場を有することが分かった。右卍を左卍に変更すると、輻射場のカイラリティーが反転することも確認した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Nanotechnology
巻: 26 ページ: 085201:1-8
10.1088/0957-4484/26/8/085201
IEEE JOURNAL OF SELECTED TOPICS IN QUANTUM ELECTRONICS
巻: 21 ページ: 7900111:1-11
10.1109/JSTQE.2014.2346617
Physical Review B
巻: 90 ページ: 075146:1-6
10.1103/PhysRevB.90.075146
Optics Express
巻: 22 ページ: 18748-18756
10.1364/oe.22.018748