平成26年度は、平成25年度に収集した建物データを用いて、倒壊限界評価法の妥当性を検証した。本検討では、まず、「「損傷度Ⅳ(一般的には幅2mm以上のひび割れが生じた部材)」以上の部材が当該建物に占める割合」により倒壊限界を判断するための手法を例題建物に対する骨組解析により開発した。その結果、損傷度Ⅳ以上の部材が建物中2割を超えると、5%の確率でその建物は倒壊するという結果が得られた(尚、参考までに倒壊確率50%では解析条件により3割~9.5割程度の部材が損傷度Ⅳ以上になったときに倒壊)。そこで本検討では、損傷度Ⅳを超える部材が被災建物中2割を超えるかどうかを判断基準とする倒壊限界評価法を用いて被災建物に適用し、その妥当性を検証した。 検討に用いた建物データは、平成25年度に収集した1995年兵庫県南部地震、2004年新潟県中越地震、2008年岩手・宮城内陸地震、2011年東北地方太平洋沖地震でそれぞれ被災した鉄筋コンクリート造学校建築物である。これらの建物について、損傷度Ⅳを超える部材がそれぞれの建物に占める割合を計算し、実際に倒壊しているか/していとの関連性を検討した。その結果、倒壊確率5%に対応する、損傷度Ⅳを超える部材が2割以下の建物では倒壊したものはゼロ棟であり、実際に倒壊した建物における損傷度Ⅳ以上の部材割合は3割~10割程度であった。 以上の結果より、損傷度Ⅳ以上の部材が建物中2割を超えるか否か、により倒壊限界を評価することで安全側の評価がなされるものと考えられ、実用化に向けて大きく前進したと考えられる。
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