研究課題/領域番号 |
25889015
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
栃木 栄太 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50709483)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | アルミナ / 粒界 / 破壊 / 透過型電子顕微鏡 / その場観察 |
研究概要 |
本年度は、粒界破壊実験用試料として{1-104}/<11-20>Σ13粒界を含むアルミナ双結晶と同粒界にジルコニウムを添加した双結晶を作製した。無添加のΣ13粒界の微細構造は先行研究によって明らかとされているため、ジルコニウムを添加した粒界についてのみ透過型電子顕微鏡法を用いて原子構造の解析を行った。本粒界には数原子層に渡るジルコニウムの偏析が観察され、代表的な構造の他にいくつかの二次的な構造が確認された。二次的な構造はエネルギー的に準安定であることが示唆され、ジルコニウム添加を伴う双結晶接合時の拡散条件の最適化が不十分であることがその要因であると考察された。粒界作製に関して検討の余地が残されているものの、研究目的達成への見通しを立てることを目的に、無添加粒界の破壊実験に先立って、透過型電子顕微鏡その場機械試験によるジルコニウム添加粒界の破壊を試みた。実験の結果、破面は粒界に沿って導入された、粒界が主たる破壊パスであることが示唆された。さらに、粒界破面の原子構造観察の結果、粒界破面にはジルコニウム層が残存しており、ジルコニウム層間で粒界破壊が進行したと結論付けられた。このことはジルコニウム層間の原子結合が弱いことを示唆しており、原子結合強度を推定する上で重要な結果である。以上より、本実験手法に関する基本的な枠組みを確立できたと言える。今後は、無添加粒界のその場破壊実験、ジルコニウム添加粒界の作製条件の最適化と破壊実験を優先的に行い、次いで粒界破面原子構造の解析・評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主要な目的の一つとして設定している、その場粒界破壊実験と破面の原子構造観察に関する実験手法の確立がおおむね達成されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究初年度に確立した実験手法に沿って研究を推進する予定である。添加粒界の破壊実験を優先したため、無添加粒界の破壊実験は未実施となっている。本実験は次年度前期に繰り下げ、研究計画全体としての目的達成を目指す。
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