本研究では原子レベルでの粒界破壊現象を探求するため、原子分解能透過型電子顕微鏡法とその場機械試験法とを併用した実験的手法の開発と基礎的データの収集を行った。Zr添加アルミナΣ13粒界の透過型電子顕微鏡その場ナノインデンテーション試験を行った結果、粒界に沿った亀裂の進展が見られた。さらに、原子分解能走査透過型電子顕微鏡により粒界破面を観察したところ、両破面上に数原子層のZr原子が残存していることが確認された。このことより、Zr添加アルミナΣ13粒界の破壊はZrの偏析層内で起こることが明らかとなった。また、本実験手法は原子レベルでの粒界破壊現象を探求するために有効であることが示された。
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