本研究では,純鉄板(板厚1mm)を用いて①せん断ひずみによる結晶方位制御が実現可能かの実験的に検討した.せん断降伏応力以下で微小ひずみを導入する事により,大ひずみを導入した場合よりも結晶方位制御に適している事を示した.また②円周方向にせん断ひずみを導入するためのバニシング加工装置を開発し,バニシング加工と熱処理による結晶方位制御を試みた.本装置では,表層から約100μm程度の深さまでせん断変形を導入できた.また,高温焼鈍により再結晶粒径は,1mm程度まで成長した.結晶方位は全体的な配向は観察できなかったが,局部的には配向がみられた. 以上の実験により,結晶方位制御の可能性を示した.
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