研究課題
本研究はBiFeO3-SmFeO3をモデルとしたモルフォトロピック相境界(MPB)付近における巨大圧電性の起源を調査することを目的とした。BiFeO3は強誘電体、SmFeO3はantidistortiveな並びを有する常誘電体であり、その間の組成で反強誘電体の相を取り、その瞬間的な組成において巨大な圧電性を生じる。本研究ではのそ相境界付近において何が原因でこのような異常巨大圧電性を示すのかを調査した。行った実験は大きく分けて3種あり、一つ目は電界をサンプルに印加した際にX線を照射して格子のダイナミクスを直接観察する、二つ目は圧電応答顕微鏡を用いてマクロな圧電性と電界の関係を観察する、三つ目にそれらの相転移の挙動を計算の観点より理論的な考察をする、である。電界印加時における放射光X線回折の実験より反強誘電体が電界誘起相転移を起こすことで最大1.9%の歪みを生じることが分かった。また、その応答速度はバルクなどで考えられるスピードに比べて非常に早いマイクロからナノ秒の応答であることが観測できた。この現象に関して、DFT計算を行ったところ、二種類の反強誘電体相(一つはジルコン酸鉛と同様の構造、もう一つはアンチディストーティブな並びを生じる反強誘電体でいわゆる常誘電体)の相転移が寄与しており、これらが巨大圧電の引き金になっていることが理解できた。さらに圧電応答顕微鏡の実験結果により、その相転移挙動を追従することに成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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