分子運動論を基にした理論解析および分子動力学シミュレーションによる数値解析によりマイクロスケールの熱泳動を分子流体力学的な切り口から調べ,以下の結果を得た.(1)単純なモデル流体において,ターゲット粒子の熱泳動を記述するボルツマン型方程式を導き,その漸近解析によりターゲット粒子の数密度に対する移流拡散方程式を得た.(2)レナード・ジョーンズ流体中において,溶媒分子とターゲット粒子間の相互作用がSoret係数に与える影響を整理した.また,温度勾配と垂直な方向からの熱泳動の可視化観察に適したマイクロ流体デバイスの作製を行い,ポリスチレン粒子とシリカ粒子の温度勾配に対する応答が異なることを観察した.
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