研究課題
集積回路の低消費電力化が期待されているGeスピンMOSFETの実現には、強磁性電極からGeチャネル中にスピンを電気的に注入し、そのスピンを電気的な手法により検出できなければならない。研究代表者は前年度までに、原子層レベルで急峻な界面を持つ高規則度L21-Co2FeSi/n+-Ge/n-Ge(111)構造をスピン注入・検出電極として用いることで、従来電極(Fe/MgO/Ge)よりも二桁近く高いスピン注入/検出効率を実現し、これまで150Kという極低温に留まっていた検出温度を100K以上も上昇させることに成功した。一方で、ほとんどの金属/p-Ge接合はフェルミレベルピニング(FLP)と呼ばれる現象により正孔に対するショットキー障壁高さが極端に低くなる。そのため何の対策も講じなければ、金属ソース・ドレイン型GeスピンMOSFETはゲート電圧がOFFの状態でもリーク電流をほとんど抑制できず、トランジスタ動作ができないと考えられる。研究代表者はこれまでに、原子整合した体心立方構造(bcc-)金属/Ge(111)接合を用いてFLPの緩和に成功しているが、この効果は試料間で大きくばらつき、安定性に欠けていた。本研究では、bcc-金属堆積前に硫化アンモニウム水溶液でp-Ge(111)基板表面を処理することにより、FLP緩和効果の安定性を大幅に向上させることに成功した。そして、金属/p-Ge接合では初めてFLPの強さの指標となるSパラメータを取得した(S ~0.12)。更に研究代表者は、超軽量かつ超低消費電力なディスプレイの創製を指向したプラスチック基板対応の低温(300℃以下)Ge結晶化技術の開発にも取り組んだ。従来技術の金誘起層交換成長法を独自技術により発展させ、300℃以下でGe結晶粒の大粒径化(> 600 μm)に成功し、その粒子を用いた薄膜トランジスタの動作にも成功した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Applied Physics Letters
巻: 106 ページ: 041902-1 - 5
10.1063/1.4906612
巻: 104 ページ: 172109-1 - 4
10.1063/1.4875016
巻: 104 ページ: 252110-1 - 4
10.1063/1.4885716