中国で近年、木造住宅増加の傾向が見られ、現地の住環境向上や日本からの技術移転・木材輸出といった観点から注目される。本研究では戦後の減少から現在復活の萌芽期にあると考えられる中国の木造住宅生産について、中国に向けた住宅輸出事例調査に加えて、有識者や木造住宅施工会社に対するインタビューや資料調査を行い、取組や課題を明らかにした。 国内インタビュー3社では、中国での木造住宅施工時の課題等を明らかにするとともに中国国内でのインタビュー対象に関する情報を得た。同時に、資料調査では、中国国内で発行された木造住宅生産に関する報告書を翻訳し、中国国内での木造住宅生産の規模や事業者の意識などを把握した。 有識者インタビューでは、中国国内で木造建築系の取組が見られる3大学の研究者に対してインタビューを行い、教育内容や中国国内での政策的な変化、資料の所在等について明らかにした。 中国国内の木造住宅施工会社2社に対するインタビューから、木造住宅事業を開始した経緯や現在の事業内容・規模、材料や技能教育の課題を明らかにした。同時に、日本の住宅会社の中国国内における施工事例を調査するとともに施工時の課題や工夫を明らかにした。 考察においては、上記の内容を整理するとともに、中国と同様に戦後、木造住宅が減少した後、近年再び増加傾向に転じた韓国や沖縄県との比較を行い、両地域と同様に中国でも現在技能者や材料の不足から枠組壁構法住宅生産が主流であるが、両地域と異なり大断面木造建築も並行して供給されている点などを指摘した。
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