研究課題/領域番号 |
25889046
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
角野 渉 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特任助教 (30708128)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 建築コンバージョン / 中国 / 台湾 / 北京 / 上海 / 台北 / 台中 / 台南 |
研究概要 |
本研究は、都市の更新技術として近年重要な意味を持ちつつある建築コンバージョン(用途変更を主とした建築改修)について、高度経済成長を迎え都市構造に急激な変化が生じている中国・台湾を対象に研究するものである。 初年度は中国および台湾における建築コンバージョンの実態把握を行なうため、文献調査および現地調査を主として実施した。事前の文献調査では、中国に関しては、中国国内で出版されている建築雑誌「建築学報」の1990年以降に出版されたものを中心として調査し、また台湾に関しては台湾国内で出版されている建築雑誌「建築師」の1990年以降に出版されたものを中心に調査した。これによって多くの事例が確認された都市として、中国の北京、唐山、天津、上海、西安など、また台湾の台北、金瓜石、新竹、台中、台南、高雄などが挙げられることが分かった。その成果を受けて、9月25日~10月8日にかけて中国のこれらの都市を、10月31日~11月6日にかけて台湾のこれらの都市を対象に現地調査を実施し、建築コンバージョン事例の写真や図面資料、また現地でのみ入手可能な文献資料など、貴重な研究資料の収集に成功した。そして、現地で収集した資料により、さらに多くの建築コンバージョン事例を発見することができ、次年度の補足調査での内容を充実させることができた。 今年度の調査研究の内容の一部は、平成26年度建築学会大会学術講演会に7編の梗概としてまとめ、うち1編を口頭発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に示していた研究計画では、初年度の内容として中国、台湾両国に存在する建築コンバージョン事例の把握と実態調査を行ない、また現地でのみ入手可能な文献資料を入手することであった。当初の計画どおり研究を遂行することができ、また次年度への追加調査の課題を発見することもできた。次年度は、追加となる補足調査を行ないつつ、当該研究の最も重要な視点である都市的背景との関連について考察を深めたい。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である次年度の研究計画は、初年度の調査によって更なる調査が必要と判断された内容に関する補足的な追加調査を実施する第1段階と、これまでの成果の取りまとめに移る第2段階とからなる。 第1段階では、初年度の調査により明らかとなった、中国における重要な建築コンバージョン事例が確認されている天津、重慶、南京を対象として追加調査を行なう必要がある。特に天津は、初年度に調査を行った上海と同じように欧米列強や日本による租界地であったため、上海との比較という意味でも非常に興味深く、本研究に対して重要な視点が生じる期待がある。また台湾は、初年度の調査が主に大きな都市が集中する台湾島の西側の調査であったため、次年度では残された台湾島東側の郊外地区に複数存在する事例の調査を実施する。台湾はエリアによって歴史的変遷が大きく異なるため、それら都市の推移と建築コンバージョンの関係についても調査を行う。 第2段階では、この調査研究を通して得られた資料をもとにデータベースを構築し、中国・台湾の建築コンバージョンの概要および実態調査結果を一覧化する。そして、都市構造の変化により生み出される建築コンバージョンという現象を、そのデザイン手法と都市的背景から考察を行なう。そしてこれらの成果は、論文などの形にまとめ、学術誌等に発表する。
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