固体高分子形燃料電池触媒層の多孔質構造制御に向けて,触媒層の材料及びプロセスの観点から構造形成手法の検討を行った.従来基材のカーボンブラックと構造が全く異なるカーボンナノチューブを一定量添加することにより,従来型の触媒層と細孔径及び空隙率の異なる触媒層を形成することが可能となった.また,プロセスにおいて材料を分散した溶液を乾燥し多孔質構造を形成する過程で,乾燥速度を制御することにより空隙率が変化することを示した.これら細孔構造の異なる触媒層の性能を評価した結果,従来指摘されていた空隙率のみでなく,細孔径分布が物質輸送抵抗因子として性能に対して重要な影響を及ぼすことを明らかにした.
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