研究課題
研究活動スタート支援
解析領域では,主に,土/水/空気/溶解物質連成有限要素解析コードの改良と深化に努めた.構築した数理モデルを種々のベンチマーク問題(一次元,多次元移流分散解析,変形-輸送連成解析)に適用した結果,数理モデルは各現象を定性的に表すことができており,今後,支配パラメータの範囲を絞り,より現実に即した計算を実施し,実現象へ適用性を検討できる段階に来ていると考える.また,純水と密度が異なる溶液の運動についても整理を進めている.さらに,大規模大容量計算に向けて安定的な解が得られるようなアルゴリズム(Open MP,SUPG法)の適用も検討している.実験領域では,汚染物質移動性把握のための一次元試験器を用意し,要素実験に取り組む環境を整えることができた.設計段階で給排水部における濃度の洗い出しシステムに不備がみられたが,装置や内部構造の改良により期間内に装置を完成させることができた.カラム試験器で簡単な通水試験行った結果,物質移動実験に十分なパフォーマンスを示すことができることを確認できている.一方,微小な圧力変化を読み取る際,発生するノイズを除去することが難しく,現在,計測部の改良とキャリブレーションシステムの改良を進めている.さらに,物質移動表現には生化学反応を伴う遅延項や減衰項の適用が不可欠であるため,現在の数理モデルで表現できる限界域を見極めるとともに,支配方程式の見直しを行っている.理論の構築が終われば,数理モデルに組み込み,カラム実験と並行して,適宜,数値計算を進めていく予定である.
3: やや遅れている
実験領域において,当初の予定より実験装置及び計測機器の準備・改良に時間を費やしてしまい,数多くの実験を実施し,有益な実験データを得るに至っていない.解析領域では全水頭整理の手法を見直すなど,適宜計算方法を見直し,計算精度向上に努めており,実験結果をキャリブレーションするための準備が整っている.今年度,多様な初期・境界条件を盛り込んだ実験を実施し,地盤内汚染物質移動挙動把握のためのシステム構築に努める予定である.
今年度は多くの初期・境界条件を盛り込んだ実験を実施し,地盤内溶解物質移動性の把握を行う予定である.計測装置,機器はすでに準備済みであり,多くの時間をかけずに有益な実験成果を得ることができると考えている.また,昨年度までに構築した土/水/空気/溶解物質連成数理モデルを実験結果に適用し,数理モデルの客観的信頼性を確認するとともに,文献等の過去の実験データを本数理モデルで表現可能か検討を進める.また,本研究で用いている数理モデルでは移流現象が卓越すると買いが不安定になることがわかっており,安定計算が望めるような数理アルゴリズム(MPS法,SUPG法等)の適用を考える.
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Theoretical and applied mechanics Japan
巻: 62 ページ: 141,147