研究課題/領域番号 |
25889057
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
西部 光一 東京都市大学, 工学部, 助教 (10707277)
|
研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
キーワード | 流体機械 / 噴流 / シンセティックジェット / ジェットポンプ / エネルギ効率化 / マイクロマシン |
研究概要 |
本研究では,連続噴流を駆動源とするジェットポンプに比べて,小型化・軽量化が容易であるシンセティックジェットを利用した流体輸送および混合促進特性について,実験的並びに数値的に解明を試みるものであり,マイクロポンプおよびミキサーへの応用を目指している.初年度である平成25年度は,流体輸送および混合促進特性とシンセティックジェット・アクチュエータの駆動条件との関係を明らかにするために,シンセティックジェットの代表速度に基づくレイノルズ数と無次元ストロークで,アクチュエータの駆動条件を整理し,従来型の正弦波駆動と駆動休止時間を組み込んだ非正弦波駆動によって生成されるシンセティックジェットの流動特性の違いについて,自由噴流状態におけるシンセティックジェットの噴流中心速度と噴流幅を,実験および数値計算の両面から調べることで検討した.得られた主な成果を以下に示す. (1)同一のレイノルズ数およびストローク条件下においては,正弦波状にアクチュエータを駆動するよりも,駆動休止時間を組み込んだ非正弦波状に駆動させた方が,スロット下流に生成されるシンセティックジェットの噴流中心時間平均速度が大きくなることが明らかとなった.また,駆動時間に占める休止時間の割合が大きくなるに連れて,噴流中心時間平均速度が大きくなることが分かった.一方で,噴流幅については駆動条件による大きな差は見られなかった.以上の結果から,アクチュエータを従来型の正弦波駆動よりも,休止時間を含んだ非正弦波駆動させた方が,より大きな運動量およびエネルギを有する流れが生成され,より優れた流体輸送特性を持つと考えられる. (2)数値計算結果より,非正弦波駆動における駆動休止時間の割合が高いほど,スロット直下で生成される渦対が大きな渦度を有し,より下流まで並進することを確認した.したがって,混合促進特性の向上に有効であることが予想される.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アクチュエータを非正弦波駆動させた状態で,実験で検討したい諸条件(レイノルズ数,ストロークなど)を再現することが想定以上に難しく,予定していたスケジュールよりも進捗がやや遅れている. しかしながら,苦戦した分,緻密に実験条件を検討した為に信頼性の高い実験データを得る事が出来た. また,平行して実施している数値シミュレーションによる検討は順調に進んでいるために,残りの実験を効率よく進めることができれば,高い流体輸送特性および混合促進特性を発揮するために,最適なポンプ幾何形状を提案できると考える.
|
今後の研究の推進方策 |
2年目となる平成26年度は,これまでに検討してきた駆動条件下における最適なポンプ幾何形状について,実験・数値計算の両面より調査する. 具体的には,シンセティクジェットにより生成された噴流がもたらす出力エネルギについて駆動流体と被駆動流体の流量比,装置入口・出口圧力をパラメータとして性能曲線を調べることで,シンセティックジェットの駆動条件がポンプ性能に及ぼす影響を明らかにする.また,一定のアクチュエータ駆動条件下において,供試ポンプの形状(すなわち駆動流体供給スロット幅b0,被駆動流体供給流路幅b1,スロート幅b2,スロート入口角の曲率R)がポンプ性能に及ぼす影響について調査する. さらに,数値シミュレーションにより,低レイノルズ環境下での適用を鑑みて,系統的にデータ収集を行い,マイクロスケール供試ポンプの設計を進める.
|