本研究ではシンセティックジェットポンプ開発のための基礎的研究として,シンセティックジェットを利用したジェットポンプ(ファン)の性能特性について,数値計算並びに実験により検討した.なお,実験を容易に遂行するために作動流体を液体の代わりに空気としたジェットファンで上述の検討を行った. 主として,スロット出口近傍での噴流速度の時間変化並びにポンプ内部の典型的フローパターンを示すとともに,ストロークをパラメータとしてポンプの昇圧機構並びに性能特性に言及した.さらに,シンセティックジェットと同一のレイノルズ数条件下において,連続噴流を利用した標準型ジェットポンプとのポンプ内部の流れ場・性能曲線との同異についても議論した.得られた主な成果を以下に示す.
1.ポンプ(ファン)の幾何形状が一定の場合には,駆動流体であるシンセティックジェットのストロークが大きくなるにつれて,ダクト内での静圧回復位置が下流になること,併せて装置出口における流量の時間変化が大きいことが明らかとなった.これは,ストロークが小さくなるに連れて,駆動源出口近傍に生成される噴流の噴流幅の拡大角が大きいことが原因であると考えられる.また,連続噴流の場合,シンセティックジェットよりも噴流幅の拡大角は小さく,静圧回復位置はさらに下流であることがわかった.従って,従来型よりも装置の小型化,流体の混合に有利であると考えられる.
2.シンセティックジェットポンプ(ファン)性能曲線は,連続噴流を駆動源とするジェットポンプと同様に単純な右下がり特性を示すことが明らかになった.また,同一幾何形状下において,ストロークを変化させた場合の性能特性の違いは僅かであり,本研究範囲では明確な違いは確認されなかった.性能曲線に及ぼすストロークの影響の詳細については,幾何形状とストロークの両方をパラメータとして検討すべきであり,今後の課題である.
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