研究課題/領域番号 |
25889058
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
飯塚 智徳 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (20706890)
|
研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
|
キーワード | ナノコンポジット / 絶縁特性向上 / 耐部分放電特性 / 放電劣化抑制機構 / フィラー粒子析出 / 熱伝導性付与 |
研究概要 |
ナノフィラー添加による絶縁破壊時間の長寿命化におけるメカニズム解明の一つとして,部分放電試験後にフィラー粒子が試料表面に析出することで,表面劣化を抑制していることが分かり,以下に抑制効果と抑制機構について示す. (1) 部分放電により生ずる絶縁材料の侵食は,4 kVrms交流電圧600 Hzの印加過程において樹脂が選択的にスパッタされると考えられる.耐部分放電特性の放電時間-劣化深度の評価の指標として,エポキシにナノシリカ3 wt%で均一分散させたナノコンポジット侵食平均速度はニートに対して約66%に抑制されていること,またマイクロコンポジットに対して約23%に抑制されていることが分かった. (2) ナノシリカ粒子における部分放電劣化抑制機構については,表面侵食の進行中にナノ粒子が析出,堆積し樹脂のさらなる劣化を抑制しており,さらに最表面においては電圧印加時間が経過するに従い,樹脂と結合力を保ったまま,シリカ成分が濃化し,最表面に緻密なナノシリカ粒子被覆層が形成されることにより,深部への劣化が抑制されたものと考えられる。またマイクロ粒子添加については,同様の効果を示すものの,同一添加量で比較するとナノ粒子に対して樹脂最表面を緻密に覆う効果が少なかったものと考えられる. また,高熱伝導性を付与したナノコンポジット試料については,試料の作製方法の違いにより,同一なフィラー粒子,添加量であっても2~3 W/mkの向上が得られることが分かった.しかしながら,今後さらなるフィラー粒子の最適化(用いるフィラー粒子の粒径や形状,添加量の低充填化)が必要であることが分かった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果については,絶縁特性向上の解明の一つとして,試料表面におけるフィラーの析出量を評価できているため.順調に進展している.しかしながら予算が実際に使えるようになったのが9月下旬と後期であったため,研究設備面においては,従来設備での評価でしか行えなく,新規設備の準備期間がなく,やや遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通り,絶縁特性向上のメカニズム解明を目的とし,さらなる絶縁特性の評価を継続していく.研究計画における大きな変更点は特にない.
|