研究課題
研究活動スタート支援
平成25年度においては,関連研究に関して,国際論文誌発表2件を以下の内容で行った.(1) 多元LDPC符号の性能解析:高性能な誤り訂正符号の一つである多元クラスタ低密度パリティ検査(LDPC)符号に対して,復号性能の評価において重要な指標である重み分布の解析を行った.本研究によって,記録媒体の状態が良いときに生じてしまう「エラーフロア現象」を低くするために必要なLDPC符号の設計パラメタの条件を導くことに成功している.本研究に関連して,国際論文誌1件の発表を行った.(2) 多元LDPC符号の復号法の改良:多元LDPC符号はメッセージパッシング復号法によって効率よく復号可能であることが知られている.しかしながら,従来の復号法では符号を定義するグラフ中のサイクルの影響により小さな復号誤りが残る場合がある.本研究では,従来の復号法に加えて新たにサイクル中の復号誤りを除去するメッセージパッシングアルゴリズムを開発することに成功した.本研究によって,記録素子の信頼性を向上できることが期待できる.本研究に関連して,国際論文誌1件にて1件の発表を行った.(3) Triangular符号の適用:Triangular符号はネットワーク符号や分散ストレージで高い性能を発揮している符号であり,記録素子における符号化でも適用可能であると期待している.本研究では,記録素子における符号化への適用を検討するために,Triangular符号を噴水符号に適用し,その性能を評価した.その結果,従来法よりも性能が向上することが確認できた.Triangular符号を記録素子に適用可能かどうかは現在検討中である.
2: おおむね順調に進展している
関連分野における国際的研究状況を鑑みて,当初の研究計画から解決していく問題の順番を変更した.その結果,当初予定していた通りではないが,【研究実績の報告】の通り成果を挙げている.したがって,おおむね順調に進展していると判断した.
関連分野における国際的研究状況を鑑みて,今後の研究計画を変更し,以下の研究に取り組む.1) セル利用回数に考慮した誤り訂正符号の開発:本研究課題を進めて行った結果,通常の誤り訂正符号を用いると多くのビットで状態の反転が生じて,記録素子の寿命を短くしていることがわかった.この問題を解決するために,まずセル利用回数に考慮した誤り訂正符号を開発する必要がある.本研究はLDPC符号をベースとした符号を用いて,符号化時にシンドローム復号法を改良したアルゴリズムを適用することで解決を見込んでいる.2) 記録素子の状態が良い時に高速で復号可能な復号アルゴリズムの開発:フラッシュメモリは記録の消去回数が少ないときには誤りが生じる確率がとても低いことが知られている.このような状況下で通常の復号アルゴリズムを実行することは消費電力ならびにスループットの観点から望ましくない.したがって,記録素子の状態が良いときに高速に動作する復号アルゴリズムを開発する必要がある.特に多元LDPC符号の場合はビットフリッピング復号法を拡張したアルゴリズムを開発すれば解決が見込まれる.
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
IEICE trans. on Fundamentals
巻: E97-A ページ: 975--984
10.1587/transfun.E97.A.975
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E96-A ページ: 2382-2390
10.1587/transfun.E96.A.2382
http://kenkyu.kanagawa-u.ac.jp/kgdb/KgApp?kyoinId=ymbigyogggg