研究課題/領域番号 |
25889065
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林 啓太 奈良工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (10710783)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | vesicle / self-assembly / drug delivery system |
研究概要 |
これまでの研究により,Span 80(sorbitan monooleate)を基本とし, DPPC(1,2-dipalmitoyl-sn-glycero-3-phosphocholine)を適当な割合で混合してベシクルを形成することで,ベシクル膜状において相分離(DPPCによるドメイン形成)を誘導することが明らかとなった.Laurdanにより相分離を評価したところ,DPPCを20%以上混合することにより明らかな相分離が観察された.またPyreneによるモノマー/エキシマー蛍光による評価からも,Span 80ベシクル膜上におけるDPPCによるドメイン形成が示唆された.このドメインサイズを定量的に測定するため,TEMPO消光法による解析を行った.その結果,DPPCドメインは約0.5 nm程度であると考えられる. これらの知見をもとに,Concanavalin A修飾Span 80-DPPCハイブリッドベシクルとマウス骨肉腫細胞(LM8細胞)との相互作用を検討した.Concanavalin Aはがん細胞膜表面に存在する糖鎖を認識することが知られており,従来,ドラッグ・デリバリー・システムにおける薬剤キャリアへのリガンドとして広く用いられている.このConcanavalin AをDPPC-NHSを用いて,Concanavalin A-DPPC複合体を形成し,Span 80-DPPCハイブリッドベシクル膜表面にConcanavalin Aを修飾する.上記の結果より,Span 80ベシクルの場合では,Concanavalin Aはベシクル膜上に均一に存在すると考えられる.一方,Span 80-DPPCハイブリッドベシクルの場合では,Concanavalin AはDPPCドメイン上に集積していると考えられる.これらのベシクルをLM8細胞に添加し,相互作用の違いを議論する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記述した通り,本年度において,ベシクルのCharacterizationに成功した.予想された通り,Span 80に対し,DPPCを混合することにでドメイン形成が観察された.従って,今後の研究方針としては,Concanavalin Aのドメインへの集積における細胞膜との相互作用について検討する.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針として,Concanavalin A修飾Span 80-DPPCハイブリッドベシクルとがん細胞膜との相互作用を検討する.Concanavalin AはDPPC-NHSによりConcanavalin A-NHS複合体を形成し,Span 80-DPPCハイブリッドベシクル膜表面にConcanavalin Aを修飾する.従って,Concanavalin AはDPPCドメイン上に存在すると考えられる.Concanavalin AのDPPCドメイン上における挙動をSpan 80ベシクルの場合と比較し,これらの知見を基に,Concanavalin A修飾Span 80-DPPCハイブリッドベシクルとがん細胞膜との相互作用を議論する.また,本研究の知見を基に,ドラッグ・デリバリー・システムにおける薬剤カプセルへのがん細胞標的リガンドの最適な修飾方法を議論することで,より副作用の少なく,高い抗がん活性を有する薬剤カプセルの設計を検討する.
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