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2013 年度 実績報告書

高次脳機能を支え・制約を課す局所神経回路機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25890001
研究種目

研究活動スタート支援

研究機関北海道大学

研究代表者

松嶋 藻乃  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10706740)

研究期間 (年度) 2013-08-30 – 2015-03-31
キーワード高次機能 / ワーキングメモリ / 選択的注意
研究概要

ヒトの精神過程,特に高次機能は,複雑かつ多様である.しかし、脳内の神経活動によって担われている限り、その認知能力は決して無限ではない。例えば,私たちは,たかだか4つの物体の情報にしか、一度に注意を向けたり、記憶したりすることが出来ない。さらに最近、ヒトの心理学実験で、複数の物体が左右の視野に分かれて呈示された時(Across条件)の方が、どちらか一方に偏って呈示された時(Within条件)より、注意や記憶容量が向上することが示された。このことは、左右の視野ごとに脳の情報処理容量が規定されていることを示唆するが、その神経基盤を明らかでない。そこで本研究では、ヒトと同様,高次認知機能を持ちながらも,侵襲的実験が可能であるサルを用いて実験を行った。
具体的には、2つのターゲットの動きに同時に注意を向けなければならない課題と2つの位置を同時に記憶しておかなければならない遅延見本合わせ課題をサルに訓練し,外側前頭前野から単一ニューロン活動を記録してきた.そうしたところ,注意を向けるべき、または記憶すべき2つの刺激が同視野内に提示されたとき(Within条件)には、両視野間に分かれている場合(Across条件)に比べて、ニューロン活動が減弱することを見出した。このことは、物体情報をコードする神経信号が、Within条件ではAcross条件に比べて、劣化していることを意味し、先の心理学実験結果を説明することができる。
左右に分かれた情報は保存され、同一視野内の情報は劣化するメカニズムとしては、前者が別々の単位構造(半球または皮質コラム)で処理されるのに対し、後者は同じ単位構造内で側方抑制による修飾を受けるためと考えられる。つまり、脳の基本的な構造が、注意や記憶といった高次機能を、知らず知らずのうちに制限していることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

記憶課題における研究成果は、Journal of Neuroscenceに受理、掲載された。また、注意課題における研究成果も、英文雑誌に投稿済みである。

今後の研究の推進方策

さらに前頭前野の機能を解明すべく、新たな研究手法や動物モデルを取り入れる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Different neuronal computations of spatial working memory for multiple locations within versus across visual hemifields2014

    • 著者名/発表者名
      Matsushima A and Tanaka M
    • 雑誌名

      Journal of Neuroscience

      巻: 34:16 ページ: 5621-5626

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.0295-14.2014

    • 査読あり
  • [学会発表] Neuronal correlates of efficient but limited capacity of cognition.2014

    • 著者名/発表者名
      Matsushima A
    • 学会等名
      Seminar Talk
    • 発表場所
      IST Austria (Klosterneuburg)
    • 年月日
      20140114-20140114
    • 招待講演
  • [学会発表] Distinct neuronal mechanisms for remembering multiple locations within vs. across visual hemifields.2013

    • 著者名/発表者名
      Matsushima A. and Tanaka M.
    • 学会等名
      Neuroscience 2013
    • 発表場所
      San diego convention center (San Diego)
    • 年月日
      20131110-20131110
  • [学会発表] 複数の物体に対する注意の配分―サル前頭前野の神経活動による検討2013

    • 著者名/発表者名
      松嶋藻乃, 田中真樹
    • 学会等名
      生理学会 北海道地方会
    • 発表場所
      旭川医大(北海道)
    • 年月日
      20130907-20130907

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公開日: 2015-05-28  

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