研究課題/領域番号 |
25890012
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 裕憲 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任研究員 (00424177)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | exosome / 脳神経疾患 / α-synuclein / IP3 / ncRNA |
研究概要 |
細胞分泌小胞であるexosomeが介する神経細胞-グリア細胞間情報伝達機構を解明する上で、レビー小体認知症の原因遺伝子あるα-synucleinをIP3刺激依存的exosome内包マーカーとして、神経系exosomeに内包されるncRNA(non-coding RNA)を探索した。 初代神経細胞を大量に培養し、IP3刺激でexosomeに内包されるncRNAを次世代シークエンスで解析したところ、既知配列とアラインした分子が6787種、新規ncRNAが19714種同定された。また、IP3非刺激コントロールと比較したところ刺激依存的に上昇した(IP3刺激依存的にexosomeに内包してきた)ncRNAは188種だった。その内、特にIP3刺激依存的に発現が亢進した(log2 Ratioが10以上の)32種に注目して、初代神経細胞からクローニングを行った。現在、これらの32種について、グリア細胞(microglia、astrocyte、oligodendrocyte)だけでなく神経細胞・神経幹細胞で機能性(炎症作用・分化制御・未分化性維持など)を有する新規ncRNAの同定を行っている。 多方面的アプローチとしてα-synucleinとIP3刺激依存的exosome中で挙動と共にする蛋白質分の同定を行った。ncRNAの同定と同様に、初代神経細胞からIP3刺激でexosomeに内包される蛋白質をショットガン質量分析で解析したところ、IP3非刺激群と比べて顕著に上昇した(IP3刺激依存的にexosomeに内包してきた)蛋白質は600種だった。次に、半定量を行いIP3刺激依存的にexosomeへの内包が顕著に亢進した14種に注目して解析を進めた。その結果、これらの分子はexosomeが介する神経細胞-グリア細胞間情報伝達においてα-synucleinのexosomeへリクルートを制御することを明らかにした。特に、exosome を介してmicroglia細胞へのα-synucleinの伝播を調節することを明らかにしており、14種のexosome を介したα-synucleinの神経細胞-グリア細胞間伝播制御機能の解析も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で既述した様に、「機能性ncRNAの同定」に関してはサンプル調整・次世代シークエンスの解析などで時間の取られ具合は否めないが、一方で、多方面的アプローチである「蛋白質の同定」で時間の相殺は出来ており、総合的に鑑みてレビ-小体認知症発症機序解明に向けてα-synucleinと神経系exosomeを足掛かりに新規関連因子の同定は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
「機能性ncRNAの同定」に関しては、32種の候補ncRNAのグリア細胞への導入後のマーカー分子(遺伝子)の変動で機能性ncRNAの同定を試みているが、全体的な遺伝子変動を捉える(理解する)上でもtranscriptome解析も検討している。これにより、候補ncRNAのグリア細胞への導入後のマーカー分子の最適化(的確なマーカー遺伝子の設定)が可能であることから、確実に機能性ncRNAの同定が期待される。
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