レビー小体認知症の病理所見である蛋白質凝集体(レビー小体)の主要構成成分であるα-synucleinについて解析した。近年注目されている細胞間情報伝達手段として分泌小胞であるexosomeがある。申請書の多方面的アプローチについて解析した結果、IP3刺激依存的に神経系exosome内にα-synucleinが選択的に内包化されてくことを明らかにした。このα-synucleinとexosome内で同じ挙動をとる分子を質量分析で探索し、非刺激群との半定量値でIP3刺激の値の高い14分子を絞り込み、さらに、α-synucleinのexosomeへのリクルートにRpn1が顕著に機能することを明らかにした。 このRpn1の機能はα-synucleinをexosome内にリクルートすることで、結果的に、exosomeを介してグリア細胞(マイクログリア、オリゴデンドロサイト)にα-synucleinを効率的に伝播した。IP-qPCRからRpn1とα-synuclein RNAの相互作用が確認され両者が同じRNP複合体に存在することが明らかにした。また、exosome内のα-synuclein RNAについて、パーキンソン病患者脳脊髄液中での存在を調べたところ、対象群(疾患コントロール)に比べて増加傾向にあった。
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