研究課題
研究活動スタート支援
ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)やTALEヌクレアーゼ(TALEN)などの人工ヌクレアーゼ、またはCRISPR/Casシステムを利用したRNA誘導型ヌクレアーゼを用いたゲノム編集法は、次世代型の遺伝子改変技術として脚光を浴びている。しかしながら、現状では単純な遺伝子ノックアウトやノックイン、および小さな染色体領域欠失の報告が主であり、同時多重遺伝子破壊や染色体の転座、逆位、重複、広域な領域欠失など、染色体レベルでの高度なゲノム改変を効率的に行うには更なる工夫が必要である。本年度は、標的ゲノム領域へのガイダンス分子であるガイドRNA(gRNA)を同時に複数発現し、かつヌクレアーゼ活性を有するCas9タンパク質の発現も同時に誘導できるベクターの構築システムを確立し、高度ゲノム編集の技術的基盤を築くことを目的として研究を遂行した。この目的を達成するために、Golden Gateアセンブリー法を利用したgRNA発現カセットの連結システムを確立し、単一のベクターで7つまでのgRNAとCas9ヌクレアーゼあるいはニッカーゼを発現させるシステム(以下マルチgRNAシステム)を構築した。更に、マルチgRNAシステムを導入したヒト培養細胞で、7か所のゲノム改変と数千塩基までの広域欠失が認められることも確認した。次年度は、本システムを更に発展させ、外来DNA配列の挿入も含めたより高度なゲノム改変技術の構築や、より広範な細胞種・生物種への応用を視野に入れて研究を実施する予定である。
2: おおむね順調に進展している
本研究と密接に関連するTALENを用いた遺伝子破壊・染色体欠失細胞の濃縮法についての論文を、Genes to Cells誌に論文発表した。更にCRISPR/Cas9のマルチgRNAシステムの構築と、HEK293T細胞での多重遺伝子破壊・染色体領域欠失実験にも既に成功しており、本成果についても現在論文を投稿中である。
次年度は、マルチgRNAシステムの更なる有用性を実証するため、様々な培養細胞において、染色体改変や長鎖外来DNAの挿入等を含めた高度ゲノム編集を試みる。その際には既存技術であるTALENも併用し、両者による改変効率や改変の正確性を比較することで、マルチgRNAシステムの実用性を検証する。また、CRISPR/Casの発現ベクターをマウスの受精卵へ直接顕微注入する、あるいは成体マウスの尾静脈に注入することで、個体レベルでのゲノム編集が可能であることが最近報告されてきた。そこで、マルチgRNAシステムによって構築したCRISPR/Casベクターを用いて、マウス個体内での高度ゲノム編集の実行を試みる。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (45件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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