ドルフィンスイムが盛んな御蔵島周辺海域に生息するミナミハンドウイルカの血縁関係を明らかにするため、行動調査にて個体識別がなされているイルカのDNAを鋳型としてmtDNAならびに12種類の多型マイクロサテライトにて多型データを構築し、親子鑑定ならびに血縁解析を行った。 その結果、2組の兄弟関係に矛盾が生じ、離乳するまでに識別可能な生物学的特徴が得られなかったことによる仔イルカの取り違いを示唆した。また、子育てに参加しない父親個体の存在が3組示唆された。 血縁関係は保全のための基礎情報となることから、適切な保全管理を行うために、個体識別調査と併用して集団遺伝学的調査を行っていく必要が示唆された。
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