研究実績の概要 |
NFkB活性のダイナミクスは細胞が刺激された後に核内のNFkB活性が振動することと、細胞の刺激量に対してNFkB活性のオンとオフを2値的に切り替えるスイッチライクな応答を示す特徴がある。これまでのNFkBシグナル伝達システムの分子ネットワークに基づく微分方程式モデルは振動もしくはスイッチライク応答どちらか一方のダイナミクスを示すモデルだった。本研究では私達のグループで開発したモデル(Shinohara, Science, 2014)とWernerらが開発したモデル(Werner, Science, 2005)を統合し、さらにそのモデルの拡張を行うことで、振動とスイッチライク応答のどちらのダイナミクスも再現できるモデルの構築に成功した。数学モデルの規模は47の微分方程式と189のパラメタから成る。このモデルは2つのポジティブフィードバックとネガティブフィードバックで制御されている。ポジティブフィードバックはスイッチライク応答を制御しており(Shinohara, Science, 2014)、ネガティブフィードバックは振動を制御している(Hoffmannn, Science, 2002)。2つのポジティブフィードバックはスイッチライク応答に必須なものと、その応答のsteepnessを促進させるものという役割の違いが見られた。システム全体としてそれらの活性ダイナミクスのバランスがどのように変わるかを今後、検討していく必要がある。現在、本研究成果を論文発表するため、成果をまとめている。
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