研究概要 |
平成25年度では、まず、現所属において本研究課題を遂行するために必要な環境整備を進めてきた。その後研究計画に従い、まずWTのマウスから神経細胞を培養し、Reelin刺激を行った後、GM130, GRASP65, GRASP55, p115について免疫沈降を行った後にリン酸化の変動を確認した。しかし上記の分子のうち、GRASP65, GRASP55に関しては使用した抗体の特異性に問題があった。興味深いことに、GM130とp115のリン酸化は、30分のReelin刺激によって若干増加していた。そこで更にリン酸化の変化がReelin刺激によって誘導されたものかどうかを明らかにするために、reelin KO 神経細胞を用いて同様の試験を行った結果、GM130とp115で見られたリン酸化の変化は、Reelinシグナルの影響である可能性が非常に高いことが判った。これらのリン酸化の変化は、リン酸化セリン、スレオニン、チロシンを認識するphos-tag-biotinを用いて確認しているため、両分子のどのアミノ酸残基がReelinシグナル特異的にリン酸化を受けているのかを明らかにする事は、今後の課題である。上記の結果は、これまで報告されていなかったものであり、Reelinシグナルによるゴルジ体構造の制御機構と神経細胞の発達機構との関連性、さらに神経系の発達とその後の高次脳機能の分子機構へのゴルジ体ダイナミクスの関与を明らかにできる可能性を示している。
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