研究課題
本研究では、ユビキチン-プロテアソーム系による基本転写因子の構成タンパク質の分解と、それが細胞分化過程に果たす役割を検証することを目的としている。平成25年度において、筋分化刺激に伴ってユビキチン-プロテアソーム系によって分解される2つの基本転写因子構成タンパク質を同定した。平成26年度では、これらのタンパク質の分解に関わるユビキチンリガーゼの同定を試みたが、分化刺激によって変化するシグナル伝達系が多岐にわたり、注目すべきユビキチンリガーゼが多数あったため、本計画期間内に同定することは困難であると判断した。そこで、用いる細胞をマウス乳腺上皮細胞NMuMGに変更し、TGF-β刺激によって誘導される上皮間葉移行 (EMT) 過程を調べることとした。初めにEMTに伴ってプロテアソーム活性依存的にタンパク質量が減少する基本転写因子構成タンパク質を、1種類同定した。この減少は刺激後12時間から認められたため、刺激誘導性のユビキチンリガーゼによって分解が誘導されていると考えられた。そのため、TGF-β刺激によって発現誘導されるユビキチンリガーゼをマイクロアレイのデータから同定し、1つのユビキチンリガーゼが上記基本転写因子構成タンパク質と結合すること、およびユビキチン化と分解を誘導することを見出した。つぎにこの分解経路がEMT過程に果たす役割を解析するため、この基本転写因子構成タンパク質が結合するDNA領域をゲノムワイドに同定したところ、翻訳に関わる遺伝子の上流に結合しその発現を制御することが判明した。また上記ユビキチンリガーゼを発現抑制すると、これらの遺伝子の発現変化が減少することを見出した。以上の結果から、EMT過程において、本研究によって同定されたユビキチンリガーゼが、基本転写因子構成タンパク質を変化させることにより、タンパク質の翻訳を制御していることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol Cell
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