研究実績の概要 |
RISCが実際どのような機構で翻訳を阻害しているかをより詳細に調べるために, 標的mRNA上の翻訳開始因子複合体の形成状態を観察可能なUVクロスリンク法を開発した. 植物RISCによる抑制機構を調べる前に, 翻訳機構が詳しく分かっている動物の系で開発したUV crosslink法が使用可能であるかを確かめた. その結果, 標的RNA上の翻訳開始因子eIF4EおよびeIF4Aを特異的に観察できることが明らかになった. microRNAを加えるとeIF4Eのシグナルに変化はなかったがeIF4Aのシグナルが減少することが示された.これらの研究は東京大学分子細胞生物学研究所 泊幸秀教授, 深谷雄志博士とともに共同で行い, 論文として発表した(Fukaya, Iwakawa and Tomari, Mol Cell, 2014).UVクロスリンク法を植物の系で用いたところ, 動物RISC同様, 植物のRISCもmRNA上からeIF4Eおよびiso4Eを解離せずに標的の翻訳を抑制することが明らかとなった.
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