感覚受容体の応答特性がチューニングされるメカニズムを明らかにするために、苦味受容体をモデルとして研究を行った。具体的には、種間でアミノ酸配列が異なる新世界ザルの苦味受容体TAS2R1およびTAS2R4の様々な苦味物質に対する応答を比較した。その結果、TAS2R1の樟脳に対する応答についてはヨザルのものが、TAS2R4のコルヒチンに対する応答についてはマーモセットのものが、他の種と比較して感受性が高いことが明らかとなった。さらに分子進化学的な解析により、それらの高い感受性が分子進化のどの段階で獲得されたか、またどのアミノ酸残基の置換がそれに寄与したのかが明らかとなった。
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