研究課題
本研究においては霊長類モデル生物の一つであるマーモセットを用いている。マーモセットのPIWIL1ホモログであるMARWIは精巣において強く発現しており、それに対してモノクローナル抗体を作製した。この抗体を用いて精巣の免疫染色を行ったところ、精細管内のpachytene以降の細胞においてMARWIが発現していることが明らかとなった。さらに本年度は、マーモセットPIWIL1(MARWI)と結合するpiRNAに関して詳細な解析を行った。本年度までにMARWIがグルタミン酸tRNAと結合することを示していた。しかし、その標的因子として明らかな候補は見つからなかった。グルタミン酸tRNA以外のMARWI結合piRNA因子の中には減数分裂期の染色体分配に重要な働きをもつ因子や、偽遺伝子、さらにトランスポゾンが含まれていた。これらは、MARWI-piRNA複合体によって種々の遺伝子が発現を制御されていることを示唆しており、マウスにおけるPIWI-piRNAの働きに関する知見と類似している。また、コンピューテーショナルな解析から、ゲノム上にそのコピー数を増やしたトランスポゾンファミリーはコピー数の少ないトランスポゾンよりもpiRNAをより多く産生することが明らかになった。この結果は、piRNA clusterが活性のあるトランスポゾンを捕まえてその発現を抑制するという「transposon trap」仮説を指示する。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Cell
巻: 155 ページ: 1061-1074
10.1016/j.cell.2013.10.027.