申請者はこれまでにLON プロテアーゼのシャペロン機能がペルオキシソームの維持およびオートファジーの調節に関与することを見出している。この知見を発展させ、ペルオキシソームにおけるバランスのとれた修復・分解機構、すなわち協調した品質管理システムを分子レベルで明らかにすることを目指し解析を行った。 (1) オートファジー抑制機構におけるLON2の役割 LON2と相互作用する因子の単離を目的として、GFP融合LON2(GFP-LON2)発現シロイヌナズナの作出を行った。当初はLON2プロモーター制御下でGFP-LON2を発現する植物体を解析に用いる予定であったが、予想外に発現率が低かったため、恒常型CaMV 35SプロモーターによるGFP-LON2発現コンストラクトを作製し、形質転換株の作出を完了した。免疫沈降解析およびSDS-PAGE解析の結果、LON2特異的バンドを複数得た。個々の相互作用因子については現在解析中である。 (2) LON2とオートファジーによるペルオキシソームの協調的な品質管理システム 植物の発芽後成長時にはペルオキシソーム機能の転換に伴ってペルオキシソーム内の代謝系は大きく変動する。LON2変異体およびオートファジー変異体では、ペルオキシソームの機能転換は一見正常に進行する。一方LON2・オートファジー二重変異体においては、古い代謝系の酵素群が残存し、正常な代謝系の入れ替えが起こらない。これらの結果から、LON2とオートファジーは相補的に不要および異常なタンパク質除去に関与していることが示された。これらの結果を含めた研究成果を論文としてPlant and Cell Physiology誌に発表した(Goto-Yamada et al. 2014)。
|