研究課題
本研究では、X線自由電子レーザー(XFEL)や第三世代放射光を利用したコヒーレントX線回折顕微鏡法(CXDM)により、これまで困難だったミクロンサイズの細胞やオルガネラ「丸ごと」の内部構造を水和状態かつ高い分解能で可視化することを目指している。平成26年度は、XFELの効果的利用に向けた技術開発を実施し、XFEL施設SACLAにおいて葉緑体やバクテリアのイメージング実験を実施した。(1)複数の測定窓と試料位置決定用窓を有する試料マウント具を設計・開発し、XFEL照射野の大面積化と試料中心出しの効率化を実現した。前年度までに開発した試料支持膜への生体粒子接着法と併せて、1試料あたりのXFEL照射数を10倍近く向上し、XFEL約1000ショット分の回折データを40分程度で取得可能となった。原子紅藻由来葉緑体のXFEL-CXDM実験を実施し、直径1~1.5 μmの葉緑体の投影像を複数得ることに成功し、葉緑体内部のチラコイド膜分布を明らかにした。(2)CXDMによるイメージング分解能の向上に向けて、生体粒子と多数の金粒子を共にイメージングすることによる生体粒子回折シグナル増幅法を前年度に考案し、計算機実験で実証した。本手法の実験的実証に向けて、今年度は試料作製法を改善し、金粒子自体に吸着処理を施すことで生体粒子近傍により多くの金粒子を散布することが可能となった。本手法で作製したバクテリア・金粒子散布試料のXFEL-CXDM実験を実施し、シグナル増幅されたと見られる回折データの取得に成功した。現在、本データの解析と像再生アルゴリズムの高度化を進めている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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