研究課題/領域番号 |
25892005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
星野 友紀 山形大学, 農学部, 准教授 (20530174)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 逆遺伝学 / TILLING / 突然変異体 / DNA修復機構 / イネリソース |
研究概要 |
本研究は、ゲノム情報を活用した逆遺伝学的解析に必須であるイネ全遺伝子の飽和変異誘導化された次世代リソースの開発基盤を構築するために、DNA修復機構が抑制された変異体の利用を試みている。本来、植物自体の生存維持のために備わっているDNA修復機構を、あえて、抑制・欠損させることによって、変異処理により小規模欠失の割合を高め、理想的な変異密度を有する次世代イネ突然変異リソースの構築を目指している。 本年度は、既に得られていたDNA修復に関わる遺伝子の突然変異体、ku70, ku80, ligase4突然変異体について、放射線感受性を調べた。その結果、エキソン領域が欠失しているligase4突然変異体は、予想どおり完全な放射性感受性を示したのに対して、1塩基置換に伴う非同義置換を有するku70, ku80突然変異体は、比較的弱い半感受性を示した。以上の事実は、当初の予想どおり、これらDNA修復が欠損した変異体を用いることによって、高い変異率を有する突然変異集団の構築が可能であることが示された。 そこで、実際にこれら変異体を用いた集団がどのくらいの変異含有率を有するかを確認するために、各変異体2,000個体に適量の放射線を照射し、M1個体を栽培した。各系統から2粒ずつサンプリングを行い、来年度に栽培するM2種子を得た。来年度は、得られた種子を用いてM2集団を栽培し、大規模なDNA抽出を行うと同時に、既に研究代表者において構築されている逆遺伝学的スクリーニング(TILLING法)により、各系統の変異率を特定する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画のとおりに研究が進んでいる。 また、来年度に栽培予定の種子を得る目的で、冬期に加温温室内でM1植物体を生育し、3月末現時点で各1,000個体程度のM2種子を得ることに成功している。来年度は、これらM2集団を栽培することにより、詳細な変異密度の解析が可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年度得られたDNA修復欠損突然変異体のM2種子を用いて、各系統1,000個体のM2集団を栽培し、各個体からDNAを抽出するとともに、逆遺伝学的スクリーニング解析用にDNAカタログセット(6バルク×340)を作出する。作出したDNAセットを対象に、研究代表者によって構築された改良型TILLING系により、ゲノムDNA断片15,000 bp(任意の1,500 bpを標的に10領域について調査する)における変異箇所の特定を行い、各系統における変異率を推定する。 TILLINGによる変異箇所の特定の結果、予想を下回る変異率の場合は、変異率から予想される理想的な集団規模を推定することによって、大規模な集団作成の基盤とする。また、研究代表者によって以前に作出されたコシヒカリ変異集団から、新規なku70, ku80, ligase4変異体群を単離し、同様の解析を行う予定である。
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