ポリマーブレンド法を用いた微視的複合化により,セルロース有機酸エステルの更なる物性改善に資する基礎研究を遂行した。汎用のアセテートとプロピオネートを主対象とし,N-ビニルピロリドンユニットを含有するビニル共重合体あるいはポリ(ビニルアルコール)との相溶ブレンド試料の作製に成功した。有用な相溶マップとして結果を整理するとともに,相溶化の駆動力となる分子間相互作用を明らかにした。工業的に汎用度が高いグレードのセルロースアセテートとポリ(ビニルアルコール)との非相溶ブレンドについては,両成分の共通相溶成分であるポリ(N-ビニルピロリドン)を添加し,その高分子相溶化剤としての効果を例示しえた。
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