本研究では、トウガラシの辛味性に強力な影響を与える遺伝子を明らかにすることを目的とする。近年、無辛味性の原因遺伝子が同定されたが、依然として低辛味(わずかに辛い) ~激辛という辛味の強弱がどのように生じるのかは不明なままである。世界で広く栽培されるトウガラシ種 Capsicum annuum では辛味の強弱に関して連続的な変異が観察される。この連続的な変異には多数の量的遺伝子が関与していると考えられているが、育種上これら量的遺伝子で辛味の強弱を操作することは難しい。一方、南米で栽培される C.baccatum種や C.chinense種では、同様の連続変異が観察されるが、そこから逸脱した低辛味品種や激辛品種が存在する。これら低辛味・激辛品種には、辛味に強力な影響を与える固有の遺伝子の存在が予想される。本研究では、これら品種を解析し、強力な新規の辛味制御遺伝子を明らかにすることを目的とする。 本年度は、低辛味遺伝子pamtの新規アリルの遺伝子構造を決定した。またpamtアリル間の系統関係を明らかにした。激辛系統に関しては、生合成遺伝子の発現様相を明らかにした。
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