研究課題
本研究の目的は、細胞質分裂を担う収縮環の詳細な形成メカニズムをモデル生物の一つである分裂酵母を用いて明らかにすることである。分裂酵母の細胞壁を取り除いた部分スフェロプラストを膜透過処理することで形成途中の収縮環を含む細胞ゴーストを作製し、in vitroの収縮環形成の再構成を行う。部分スフェロプラストを用い、収縮環形成時に膜透過処理をした細胞ゴーストにATPを添加したところ、ゴースト細胞膜上にあるミオシンのドットが互いに集合するような動きがわずかに見られた。また、ミオシンを含む細胞表層が単離された例もあり、これもATP添加により凝集した。現在この動きについて解析するとともに、最適な再活性化の方法を検討している。また、スフェロプラスト作製法についてさらに検討を行った。温度感受性変異を複数組み合わせることにより、スフェロプラストにおける細胞周期の同調に成功し、高頻度で収縮環を保持する細胞ゴーストを作製することが可能となった。さらに、収縮環の完全単離法についても検討した。細胞壁溶解酵素の濃度、添加のタイミング、処理時間等を検討することで低頻度ではあるが遊離した収縮環の取得、およびその再活性化に成功した。現在はさらに高頻度で単離できる方法を検討している。これらの試料を用い、生物物理学的な実験(収縮力の測定)、微細構造解析(臨界点乾燥法、フリーズレプリカ法、クライオ電子線トモグラフィー)を進めている。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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生体の科学
巻: 64 ページ: 533-538