対象地すべり地において,深度別の地下水の水素・酸素安定同位体比分布及び不活性ガスおよび放射性同位体による年代推定結果から,地下水は混合が少ないまま多層的に流動し,ブロック外も含めた異なる地域から涵養を受けることが示された.流域内の河川水の水素・酸素安定同位体比は,融雪期を除いた3時期は類似した高度効果を示した.これより,出水期の一時的な同位体分布を示す融雪期を除いた他時期の高度効果が,地すべり地の涵養域の推定に有効といえる.これらのトレーサーを組み合わせて用いることで,積雪地域の地すべり地の地下水の涵養域を推定できることが示された.
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