研究課題/領域番号 |
25892033
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
青木 一真 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (90362508)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 分子生物学 / RNA / 転写後制御 / 複合体 |
研究概要 |
LARP1はmRNAの3'末端領域を構成するポリA鎖の最末端を認識するタンパク質として同定されたが、その基質認識の特異性の分子機構や役割については不明な点が多い。本研究課題においてはこの点を明らかにする事を目的の一つとしており、本年度は主としてLARP1の基質認識特異性についての解析やRNA認識に必要なドメインの検索をおこなった。 1. cDNAクローニングの結果、LARP1は第1エクソンが異なる2種類のアイソフォームが存在する事を確認した。最近になって、これらのアイソフォームについて乳癌細胞の種類によって発現パターンが異なるという報告がなされており、LARP1のN末端領域が何らかの機能性を有し、細胞或は組織によって使い分けられている可能性が示唆された。 2. LARP1と短いポリA鎖(合成RNA)を用いた結合解析をおこない、3'位へリン酸基の付加したポリA鎖を用いた場合にはLARP1との結合が著し減少したことから、LARP1がRNAの3'末端の構造を厳密に認識している事が示された。また塩基配列認識の特異性に関してはマグネシウムイオン濃度が影響する事を明らかにした。 3. LARP1について複数の欠損変異体を作製し、RNA認識に必要とされるドメインの解析をおこなった。Laドメインは幾つかのタンパク質で保存されているが、LARP1のLaドメインはその基本構造の一部を欠いており、Laドメイン単独ではRNA結合能が著しく減少していた。その一方でN末端領域とLaドメインではRNAの3'末端を認識して結合することから、N末端領域にLaドメインを補完するドメインが含まれている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度においては主としてLARP1のRNA認識の特異性の詳細を明らかにする事を目的として研究を進めてきた。その目的に沿って研究を進めてきた成果については「研究実績の概要」に示した通りであるが、明らかにした結果の中から、今後の研究の進展の為に更なる解析が必要な幾つかの点が浮かび上がってきている。 第一にはLARP1の塩基配列認識の特異性がポリA鎖長に影響を受けている可能性であり、もう一つはマグネシウムイオン濃度がRNA結合能に影響を与えている点である。これらはLARP1の生理的役割を明らかにする為の重要な情報でもあるが、その一方で26年度に予定していた詳細な結合解析等をおこなう上での前提条件としても重要である。したがってこれらについての詳細な解析は26年度においても継続しておこなっていく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の計画に従って研究を進めていく。ただし25年度に得られた結果の中で更なる解析が必要な事項については、解析を継続しておこなっていく。したがって26年度におこなうことを計画している主な内容は下記の通りである。 1. LARP1とポリA鎖の結合様式に関する詳細な解析 2. 結合解析等に用いる為のLARP1タンパク質の大量精製。なおこの件については構造解析用の試料とする事も視野に入れている。 3. 無細胞翻訳反応系を用いたLARP1の機能解析
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