研究課題/領域番号 |
25893007
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 真理 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40546488)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | 軟骨細胞 / Tyrosine hydroxylase |
研究概要 |
重力や運動といった機械的刺激の感知に重要である骨細胞を大量に埋め込んだ骨組織を感覚臓器と捉え、メカノセンサーである骨細胞からの感覚刺激の伝達により、成長板付近の軟骨細胞で神経伝達物質の産生が誘導され、求心性神経を介して脳へと神経刺激が入力されるとの仮説を明らかにすべく以下の研究を行った。 ・マウス軟骨前駆細胞株ATDC5を用いて、軟骨前駆細胞または軟骨細胞へと分化を誘導したもので、RT-PCRによるTyrosine hydroxylase(TH)遺伝子の発現を検討したがATDC5ではTH遺伝子の発現は見られなかった。理由として、ATDC5はテラトーマ由来の細胞株であるため、大腿骨成長板の軟骨細胞とは性質が異なるからだと考えられる。 ・8-9週齢のマウス大腿骨および頸骨から成長板の軟骨細胞をコラゲナーゼにて単離・抽出し、リアルタイムPCRによるTH遺伝子の発現を調べたが、現時点では発現が確認できていない。現在、2-3週齢の若齢マウスからの成長板軟骨細胞の抽出を行い、軟骨細胞分化誘導試薬添加下で培養した上でTH遺伝子の発現の検討を行っている。 ・幼若マウス・成体マウス・老齢マウスの大腿骨または脛骨の骨組織切片にてTH抗体を用いた増幅蛍光免疫染色を行い、成長板付近での軟骨細胞でのTH発現に関して週齢ごとに検討を行う。 ・骨細胞除去マウスの大腿骨凍結切片を用いた免疫蛍光染色により、成長板軟骨細胞のTHタンパク発現を確認したところ、野生型マウスと比較して変化は見られなかった。 ・成長板軟骨細胞がTHを利用して最終的にカテコラミンを合成しているとすれば、骨切片を用いたカテコラミンとglyoxylic acidとの化学反応を用いた蛍光染色(Glyoxylic acid histofluorescence technique)が可能なはずである。心臓の切片では蛍光が捉えられたが骨切片ではサンプル調整が難しく、現在条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参考論文に従い順調にプライマリー軟骨細胞の単離・抽出までを行ったが、Tyrosine hydroxylase 遺伝子の発現が確認できておらず、細胞培養による実験がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
・軟骨細胞培養に関しては、2-3週齢の若齢マウスからの成長板軟骨細胞の抽出を行い、軟骨細胞分化誘導試薬添加下で培養した上でTH遺伝子の発現の検討を行う。 ・幼若マウス・成体マウス・老齢マウスの大腿骨または脛骨の骨組織切片にてTH抗体を用いた増幅蛍光免疫染色を行い、成長板付近での軟骨細胞でのTH発現に関して週齢ごとに検討を行う。さらにPhalloidinもしくはCD44にて免疫蛍光染色した骨細胞の加齢による変化を検討し、軟骨細胞のTH発現変化と比較して関連を検討する。 ・骨細胞からの感覚刺激入力と軟骨細胞でのTH発現の関連を明らかにするため、骨細胞が機械的刺激を感知して産生する因子であるPGE2、sclerostin、IGF1を添加してTH遺伝子の発現変化を調べる。 ・尾部懸垂により後肢を地面につかないようにしたマウスでは、骨細胞による機械的刺激が入らず軟骨細胞への感覚信号が入力されないはずなのでTH産生が減弱すると思われるため、これらのマウスの骨組織切片を用いた増幅免疫蛍光染色にてTHの発現を確認する
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