研究実績の概要 |
1.ホルマリン固定大腸癌切除標本を用いたタンパク質発現解析 2000年~2006年に東北大学病院で切除され、予後情報が明らかである大腸癌切除検体103例の大腸癌切除標本の免疫染色を行った。その結果、大腸正常粘膜ではほぼ染色を認めないのに比し、癌部では49例(48%)で陽性を示した。全生存期間との関連をカプランマイヤー法にで検討した所、Cripto-1陽性例は有意に予後が悪かった(p=0.0112)。単変量解析、多変量解析ではCripto-1陽性が独立した予後規定因子とはならなかったが、今後症例数を増やし、さらに検討する予定である。 2.Cripto-1安定発現抑制細胞株を用いた細胞増殖能・転移能の検討 Oncomine database 及び(Sasaki H et al.2008)より、HT29, colo205をCripto-1高発現・高転移細胞株として抽出し、Cripto-1発現を抑制するmiRNA発現ベクターを導入した。抗生剤にてセレクションをかけた後、限界希釈法にてシングルコロニーを採取し、Cripto-1安定発現抑制細胞株を作成した。同細胞株をEmpty Vector導入細胞株と比較しすると、Cripto-1発現が約10分の1に低下していることを確認した(Real-Time PCR)。現在、機能解析を行っているが、Cripto-1発現抑制株で細胞増殖能が低下している結果が得られている。最終的には移植実験も行い、増殖・転移能の変化を観察する予定である。
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