研究実績の概要 |
緑内障は視神経の特徴的な構造的・機能的異常をきたす疾患であり、中途失明の原因の第一位を占めている。しかし、そのメカニズムについては未解明の部分も多い。 本研究では緑内障の病態の解明のため、各種障害を与えた疾患モデル動物を用いて、神経損傷・保護に機能する遺伝子およびその分子機構の探索・同定を目的とする。そのために、RNAi法を用いた網羅的な探索を行うこととした。すなわち、種々の遺伝子をRNAiによりノックダウンし、それによって現れる影響を疾患モデルにより機能面から評価することで新規機能性遺伝子を同定し、その詳細を分子生物学的手法と機能プローブを用いたイメージングなどの手法を駆使することで解析する。 そのためにまずは、条件検討を行った。種々のsiRNAおよびshRNA発現ベクターを作製し、RNAiの手法とその導入方法等に関して検討したところ、shRNA発現ベクターをアデノ随伴ウイルスを用いて遺伝子導入する方法が良好であった。しかしながら、実際の解析には不十分である可能性があったため、過剰発現系も用いて行うこととした。 網羅的発現解析(Yasuda et al., 2014)から得られた遺伝子をターゲットとしてRNAiおよび過剰発現等のアデノ随伴ウイルスベクターを用いて緑内障モデルを用いた解析を行ったところ、網膜神経節細胞の細胞死パスウェイにおいて小胞体ストレスが関与していることが示唆された。 本研究により、緑内障をはじめとした難治性網膜疾患がもたらす神経損傷の分子機構の解明と神経保護薬の開発につながることが期待される。
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