乳がんの死亡原因のほとんどが転移であるが、転移を抑制する治療薬はまだない。本研究では、芳香族炭化水素受容体 (AhR) を介した新規乳がん抑制メカニズムを解明することを目的として研究を行った。AhRにリガンド (YL-109) が結合すると、活性化されたAhRによりがん抑制因子であるCHIPの発現が増加することが明らかとなった。この発現誘導されたCHIPによって、乳がんの増殖や浸潤を抑制することが示唆された。また、YL-109による抗乳がん作用は、マウスモデルにおいても確認できた。今回の結果は、乳がんに対する新たな治療戦略を提示するものであり、新規治療薬の開発に貢献することが期待される。
|