研究課題/領域番号 |
25893025
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
水野 広一 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (30321821)
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研究期間 (年度) |
2013-08-30 – 2015-03-31
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キーワード | インスリン分泌 / 糖尿病 / Rab27a / 全反射顕微鏡 |
研究概要 |
インスリン顆粒の細胞膜ドッキングの機能的意義を明らかにすることを目的に、ドッキング因子であるグラニュフィリンの有無によるインスリン顆粒の運動性や分泌応答性の違いを検討した。実験には、グラニュフィリンノックアウトマウス由来の膵β細胞に蛍光標識グラニュフィリンを入れ戻した細胞を用い、高速で多波長の観察が可能な全反射顕微鏡を使った細胞膜近傍でのインスリン顆粒とグラニュフィリンの同時観察を行った。取得した画像の解析から、グラニュフィリン陽性インスリン顆粒は、運動性に乏しく細胞膜に非常に近接したドッキング顆粒であり、グラニュフィリン陰性非ドッキング顆粒と比べて分泌応答性に乏しく、開口放出の際にグラニュフィリンの遊離と運動性の亢進を伴うことが明らかとなった。これらは、全反射顕微鏡で観察可能なインスリン顆粒には、局在分子の異なった様々な状態の顆粒群が存在していることを示している。また、細胞膜ドッキングは、膜融合に必須の前過程ではなく、むしろ膜融合を抑制する過程として働いており、膜融合の際に細胞膜ドッキングが解除される可能性を示唆している。 一方、分泌小胞のプライミング因子と考えられているMunc13ファミリーに着目し、その細胞内動態を全反射顕微鏡下に観察、解析した。Munc13は、細胞内カルシウムイオン濃度上昇に伴ってインスリン顆粒上に濃縮し、顆粒上のグラニュフィリンを遊離させた。さらに、RNA干渉法によるMunc13ノックダウンは、グラニュフィリン過剰発現と同様にドッキング顆粒の増加と分泌抑制を引き起こした。これらは、Munc13がグラニュフィリン遊離因子である可能性を示唆している。現在、組換えタンパク質を用いた試験管内再構成実験により、Munc13のグラニュフィリン遊離因子としての可能性を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度で計画していた、生きた膵β細胞内でのグラニュフィリン陽性インスリン顆粒の動態解析に加え、平成26年度に計画していたMunc13の動態解析もほぼ終了した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、組換えタンパク質を用いた試験管内再構成実験系を用いて本研究課題を推進する。
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